イスラム教徒が豚肉を食べない理由とインドネシアのハラームフードの現状を解説!ハラームフードの一覧と禁止レベルも

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こんにちは。

私はジャカルタ在住の日本人ムスリムでイスラム教に改宗してからというもの、自然とお酒や豚肉に接する機会が少なくなりました。

それでも、時々無性に豚肉が恋しくなる瞬間があり、つい北ジャカルタの中華街、コタへ足を運んでしまうこともあります。

今回は、そんな私がイスラム教徒になる前に疑問に思っていた、なぜムスリムが豚肉を食べてはいけないのか、そしてインドネシアにおけるハラームフードとハラール認証について解説します。

イスラム教徒が豚肉を食べない理由

イスラム教徒(ムスリム)が豚肉を食べてはいけない理由には、いくつかの宗教的、歴史的な背景があります。

理由1:衛生上の問題

まず最初に、豚肉は他の肉と比べて寄生虫やウイルス、雑菌が多いと考えられています。

これは古代からの認識であり、当時は豚肉を食べて感染症にかかる人が多かったため、特に子供や年配者が感染症で亡くなるケースが頻発していました。

このような背景から、豚肉を避けることは子孫繁栄のための安全策として取り入れられました。

現代では、食肉加工技術や医療が進んでいるため、豚肉を食べることによる感染症のリスクはかなり低くなっています。

それでも、イスラム教は7世紀から続く宗教であり、当時からの伝統を守り続けることが重要とされ、今でも豚肉を食べることは禁じられています。

理由2:豚の雑食性

二つ目の理由は、豚が雑食であることです。

豚は何でも食べることで知られており、草だけでなく穀物も摂取します。

イスラム教が広がったアラビアの砂漠地域では、食料資源が限られているため、豚のような雑食性の動物を飼育することは非効率的でした。

これも、豚肉が禁じられた理由の一つと考えられます。

この点については、インド発祥の仏教が牛肉を禁じていることと共通する点もあり、宗教が禁じる食材には、その地域の気候や文化、歴史的な背景が強く影響していることがわかります。

もしムスリムが豚肉を食べたらどうなるのか?

ムスリムが豚肉を食べた場合、宗教的な罰を受けるわけではありませんが、周囲のムスリムから「それはダメだよ」と注意を受けることがあります。

とはいえ、何らかの理由で豚肉以外の食材がなく、飢えている場合は、豚肉を食べることが許される状況もあります。

また、料理に豚肉が含まれていることを知らずに食べてしまった場合も、とがめられることはありません。

例えば、日本でムスリムがカップラーメンを食べた後で、スープに豚肉成分が含まれていることに気づいた場合、これは仕方がなかったこととして理解されます。

一部のムスリムは、イスラム教の戒律が厳しくない国にいるときや、信仰の範囲内で緩く過ごしていることもあります。

特にインドネシアのような国では、豚肉を時折食べるムスリムも少なくありません。

インドネシアにおけるハラームフードの一覧と禁止レベル

イスラム教では、豚肉以外にも「ハラーム」とされる食べ物がいくつかあります。

これらは、イスラム教の戒律により摂取が禁じられているものです。

例えば、熊、ライオン、虎、猫、犬、ハイエナ、狼、狐、猿、リス、象、馬、ロバ、鷲、鳶、鷹、コウモリ、カラスなどがハラームに該当します。

このリストを見ると、人間が一般的に食べることが少ない動物が多いことがわかります。

肉食動物が禁じられている理由は、これらの動物が死肉や排泄物を食べることがあるため、衛生上好ましくないとされているからです。

また、象や馬は歴史的に農作業や戦争で使用されてきたため、食べることが禁じられているという背景もあります。

さらに、甲殻類(カニや貝、海老など)もハラームとされていますが、インドネシアでは甲殻類を含む魚介類は一般的に食べられています。

インドネシアのハラール認証の現状

インドネシアやマレーシアなどのイスラム教徒が多い国々からの観光客が増える中で、日本でも「ハラール認証」が注目されています。

しかし、インドネシアにおいてハラール認証は、あくまで安心材料の一つといった意味合いが強いです。

インドネシアでは、スーパーマーケットやコンビニで売られている食料品にはハラール認証が付いていることが多いですが、個人経営のワルン(食堂)や路上の屋台、伝統市場で売られている食材については、ハラール認証があるかどうかをあまり気にしない人も多いです。

ムスリムが経営しているお店であれば、自然とハラールが守られていると考える傾向があります。

ハラール製品保証法の施行と影響

2014年に制定され、2019年から施行予定の「ハラール製品保証法」は、インドネシア国内で生産される製品だけでなく、輸入品にもハラール認証を求める内容となっています。

これには、食料品だけでなく、飲料、医薬品、化粧品など動物由来の成分を含むあらゆる製品、さらには加工、配送、販売と言った流通経路にもハラール認証が求められます。

ハラール認証のない製品は非ハラール表示を掲示することで販売は可能ですが、消費者に不安を与えるため、非ハラール製品は市場から淘汰されていく可能性が高いです。

これは事実上、外国製品や非ハラール製品を市場から締め出す動きといえます。

まとめ

今回は、イスラム教徒が豚肉を食べない理由、そしてインドネシアにおけるハラームフードとハラール認証の現状について見てきました。

食は生きる上で最も大切な楽しみの一つですが、宗教上のタブーも大きな役割を果たしています。

インドネシアのムスリムも、豚肉の美味しさを知っている人が多いです。

普段の生活では豚肉を食べませんが、時折「せっかく日本からお客さんが来ているから、おいしいもので接待しよう」として豚肉が出るレストランに行くこともあります。

また、リベラルなムスリムは海外旅行中に現地の食文化を楽しむこともあります。

このように、インドネシアのムスリムの間では、本音と建前の間で揺れ動いている心情が見られます。

すべてをハラールマークで縛るのは現実的ではなく、各個人の信仰心や生活スタイルに合わせた柔軟な対応が求められるのかもしれません。

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shabushi

インドネシア在住の夫婦がバリ島、ジャカルタなどインドネシアを中心に旅情報や海外移住についてのコンテンツを発信しています。

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