イスラム教徒の女性が頭に布を被っているのを見たことがあるかもしれませんが、あの布は「ヒジャブ」と呼ばれます。
日本ではあまりヒジャブを被った女性を見かけることは少ないかもしれませんが、インドネシアのようにイスラム教徒が多い国では、多くの女性がヒジャブを着用しています。
では、なぜイスラム教徒の女性たちはヒジャブを身に着けているのでしょうか?
ヒジャブとは
ヒジャブとは、アラビア語で「覆うもの」という意味があり、イスラム教の聖典コーランに基づいています。
コーランには、女性は顔と手以外の肌を覆い、男性の視線を集めないようにしなければならないとされています。
「美しい部分を人に見せぬように」という教えに従い、女性の髪や肌を隠すことで、男性を誘惑せず、また自らを性的な嫌がらせから守るとされています。
そのため、ムスリム女性の中には、頭にヒジャブを巻き、長袖の衣服や長ズボン、もしくはロングスカートで全身を覆う人が多く見られます。
しかし、イスラム教徒であるからといって、必ずしも全員がヒジャブを着用するわけではありません。
ヒジャブを身に着けるかどうかは、個々の信仰心や文化に依るものであり、ヒジャブを被っていないムスリム女性も多く存在します。
私自身、イスラム教に改宗した日本人ですが、普段はヒジャブを被っていません。
信仰心は人それぞれであり、ヒジャブを被ることに対する覚悟や意識は様々です。
私の友人はイスラム教徒として生まれた人物ですが、彼にヒジャブを被るべきか尋ねたところ、「自分がヒジャブを被る覚悟ができた時に被れば良い」と言われました。
彼の母親も、ヒジャブを被り始めたのは数年前からだそうです。
ヒジャブの種類
ヒジャブには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
まず、「ヒジャブ」は最も一般的なもので、頭部を布で覆うスタイルです。
「ヒマール」はヒジャブよりも大きな布を使い、背中まで覆うことが特徴です。
「チャドル」は、頭から布を被り、全身を覆うスタイルで、特にイランのムスリム女性が外出時に着用する伝統的な装いです。
「ニカーブ」はチャドルに似ていますが、目以外の部分を全て布で覆うもので、特にサウジアラビアなどで見られます。
「ブルカ」は、顔や頭、全身を布で覆い、目の部分もメッシュ素材の布で隠すもので、アフガニスタンで主に使用されます。
最後に「アバヤ」は、チャドルやニカーブと同様に全身を覆うもので、特にサウジアラビアで外出時に着用が義務付けられています。
ヒジャブの値段について
ヒジャブの値段は、購入する場所やブランドによって異なります。
インドネシアのローカルなムスリムショップでは、1枚200円から300円程度で購入できることが多いですが、ブランド品や高級生地を使用したヒジャブになると、1枚3000円以上することもあります。
日本でもユニクロやナイキなどの有名ブランドがヒジャブを取り扱っており、特にナイキからはスポーツ用のヒジャブも販売されています。
インドネシアのヒジャブとアラビアのヒジャブには、スタイルや用途において違いがあります。
インドネシアのムスリム女性は、主にヒジャブやヒマールを使用するのに対し、アラビアのムスリム女性はチャドルやニカーブを着用することが一般的です。
インドネシアでニカーブを着用している女性は少なく、また、インドネシアやマレーシアのムスリム女性たちは、カラフルでおしゃれなヒジャブを楽しむ傾向があります。
一方、アラビアでは黒が基本とされ、国の法律でヒジャブの着用が義務付けられているため、外出時には必ずヒジャブを身に着ける必要があります。
インドネシアでは、ヒジャブの着用は義務ではなく、多くのムスリム女性がヒジャブを使わない選択をしていますが、スマトラ島の北端にあるアチェ州では、イスラム教の戒律が非常に厳しく、ムスリム女性に対してヒジャブの着用が義務付けられています。
また、アチェでは公開むち打ち刑が行われるなど、厳格な戒律が維持されています。
ヒジャブには、様々な素材、色、柄、形、サイズがあります。
インドネシアには主に「スクエア」、「パスミナ」、「インスタントヒジャブ」の3種類が一般的です。
「スクエア」は正方形のヒジャブで、「パスミナ」は長方形のヒジャブです。
「インスタントヒジャブ」は、簡単に被るだけで装着できるもので、インドネシアの女性たちが洗濯物を干しに行く時や、ちょっとした買い物に行く時に使うカジュアルなヒジャブとして人気があります。
スクエアやパスミナは1枚の布でできており、その巻き方やスタイルは非常に多様です。
おしゃれなムスリム女性にとって、ヒジャブは髪を巻いたり、ヘアアレンジを楽しむ感覚に近いものがあります。
中には、耳を出さずにイヤリングやピアスを上手にヒジャブの外に見せるファッション上級者もいます。
インドネシアのヒジャブの着こなし
インドネシアのムスリム女性たちは、黒一色の服装ではなく、色や柄を自由に楽しんでいます。
ヒジャブは髪や肌を隠すためのものですが、ノースリーブの服装と組み合わせると「おかしな人」と思われることがありますので、注意が必要です。
多くのインドネシアのムスリム女性は、体のラインが出ない長袖のゆったりとしたロングワンピースを着用しており、特に子育て世代の女性や年配の女性に多く見られるスタイルです。
若い世代やおしゃれな女性たちは、ジーンズやハイウエストのパンツに長袖のシャツを合わせるなど、スタイリッシュな着こなしを楽しんでいます。
コロナ禍においては、インドネシアでも外出時にマスクの着用が義務付けられていますが、ヒジャブを被っている場合、マスクの装着が少し難しくなることがあります。
普通のマスクを無理やり着ける方法、後頭部で紐を結ぶタイプのマスクを使用する方法、あるいはニカーブをマスク代わりにする方法などがあります。
個人的には、後頭部で紐を結ぶタイプのマスクが、着脱しやすくて便利だと感じています。
また、ヒジャブの色と合わせてマスクの色を選び、マスクとヒジャブのコーディネートを楽しむこともできます。
まとめ
ヒジャブに対するイメージは人それぞれかもしれませんが、実際には多くのムスリム女性が、様々な色や柄のヒジャブを楽しみながら、おしゃれを楽しんでいます。
素敵なヒジャブコーディネートを見ると、世界中でヒジャブファッションが注目されている理由が分かるのではないでしょうか。
ヒジャブは単なる宗教的な衣装以上に、個々のスタイルや文化を反映したファッションアイテムとなっており、インドネシアではその多様性が特に顕著です。
このコンテンツを通じて、日本の皆さんにもヒジャブの魅力や素晴らしさが少しでも伝われば嬉しいです。
ヒジャブを被ることでおしゃれの幅が広がり、新たなファッションの可能性を発見するきっかけになるかもしれません。
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