イスラム教の礼拝のやり方とインドネシアのモスクでのマナー

知識

イスラム教は、多くの日本人にとってあまりなじみのない宗教かもしれません。

しかし、空港や公共の場で見かけるムスリムの礼拝所のマークを目にしたとき、初めてその存在を身近に感じる人も多いでしょう。

さて、礼拝所やモスクでどのようなお祈りが行われているかご存じですか?かく言う私も、ムスリムに改宗するまでイスラム教の礼拝がどのようなものか全く知りませんでした。

今回は、イスラム教の礼拝の方法、礼拝の時間と回数、そしてお祈りをする場所の方角やモスクでのマナーについて、インドネシアに住む日本人ムスリムとしてお話しします。

ムスリムに課せられた5つの義務

イスラム教徒(ムスリム)には、5つの基本的な義務が課せられています。

  1. 信仰告白(シャハーダ):イスラム教に入信する際に唱える短い言葉です。この言葉は「アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」という内容で、これを心から信じて唱えることが信仰の第一歩です。
  2. 礼拝(サラート):ムスリムは1日に5回、決められた時間に礼拝を行います。この礼拝はアッラーへの感謝と服従を表すもので、ムスリムにとって非常に重要な義務です。
  3. 断食(サウム):ラマダン月の間、日の出から日没まで飲食を断つことで、自己修養と他者への共感を深めることを目的としています。
  4. 喜捨(ザカート):富の再分配として、貧しい人々や困っている人々に寄付をすることが求められます。例えば、断食明けに米を2.5kg購入して近所のモスクに寄付するなどがあります。
  5. 巡礼(ハッジ):イスラム教の聖地メッカへの巡礼を、生涯に一度は行うことが理想とされています。

イスラム教の礼拝の内容と一連の流れ

イスラム教では、1日に5回以上の礼拝を行うことが定められています。

礼拝の一連の流れと手順は次の通りです。

ウドゥー(お清め)

礼拝を始める前に行う清めの儀式です。日本の神社やお寺で行う手や顔の洗い清めと似た儀式です。

清潔さはムスリムにとって非常に大切なもので、以下の順序で行われます。

  1. 右手を手首まで洗う(3回)
  2. 左手を手首まで洗う(3回)
  3. 口をすすぐ(3回)
  4. 鼻を鼻の穴の中まで水を入れて洗う(3回)
  5. 顔全体を洗う(3回)
  6. 右腕を肘まで洗う(3回)
  7. 左腕を肘まで洗う(3回)
  8. おでこを洗う、または前髪まで水で湿らせる(3回)
  9. 右耳の中と外を洗う(3回)
  10. 左耳の中と外を洗う(3回)
  11. 右足を洗う、指の間までしっかりと(3回)
  12. 左足を洗う、指の間までしっかりと(3回)

ウドゥーを行った後、礼拝に進むことができます。

礼拝の手順

礼拝は、いくつかの基本セット(ロカート)を繰り返す形式で行われます。

  1. ニアット(意思表明):お祈りを始める際に行う最初の言葉です。2ロカート目以降は行いません。
  2. タクビール:両手を耳の位置まで上げ、「アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)」と唱えます。そして、手をへその上で組みます。
  3. コーランの朗誦:Ifitafaの章、AL-Fatihahの章、任意の短い章を朗誦します。これも1ロカート目に行います。
  4. ルクウ:タクビールの後、お辞儀の姿勢を取ります。この時、手は膝に置き、「スブハーナ・ロッビヤル・アズィーミ・ウィビハンディ」と3回唱えます。
  5. スジュード:タクビールを唱えながら、膝、手、鼻を床に付け、そのままの姿勢で「スブハーナ・ロッビヤル・アッラー・ウィビハンディ」と3回唱えます。
  6. タヒヤート:偶数ロカート目と最終ロカート目に行います。正座の姿勢で「アッタヒヤート」の規定句を唱えます。
  7. サラーム:礼拝を終える際、頭を右に向け「アッサラーム・アライクム・ワ・ラフマトゥラー」と唱え、次に左に向けて同じ言葉を唱えます。
  8. ドゥアー(各自のお祈り):最後に個々のお祈りを行い、礼拝が終了します。

この一連の動作は、約10分ほどで完了します。

イスラム教のお祈りの回数と時間

ムスリムに義務付けられている礼拝は1日5回ですが、それ以外にも行われるお祈りがあります。

  • スブー(日の出前):午前4時40分頃に行われる2ロカートの礼拝
  • ズフール(正午頃):午後12時頃に行われる4ロカートの礼拝
  • アサール(午後の礼拝):午後3時20分頃に行われる4ロカートの礼拝
  • マグリブ(日没後):午後5時50分頃に行われる3ロカートの礼拝
  • イシャ(夜の礼拝):午後7時5分頃に行われる4ロカートの礼拝

これらが基本的な5回の礼拝ですが、個人の裁量でそれ以上の礼拝を行うこともあります。

また、ラマダン月の間は、スブーの時間からマグリブの時間まで断食が行われます。

礼拝の場所と方向

イスラム教の礼拝は、モスクだけでなく、清潔な場所であればどこでも行うことができます。

インドネシアでは、ショッピングモールや駅の中などに設置されている小さな礼拝所は「ムショラ」と呼ばれています。

礼拝はメッカの方向(キブラ)に向かって行われますが、自宅ではだいたいの方角を見定めて礼拝を行います。

モスクでのマナー

モスクは清潔で神聖な場所とされています。モスクに入る際は、靴を脱ぎ、ウドゥーを行う必要があります。

また、服装にも気を付けるべきで、コーランには「モスクには一番良い服で行きなさい」と記されています。

観光地化しているモスクでも、袖付きシャツや長ズボンなど、露出の少ない服装をすることが求められます。

インドネシアのモスクでは、礼拝の時間以外にも、人々が集まって昼寝をしたり、スマートフォンを使ってゲームをしたりすることがあります。

モスクは人々の交流の場でもあり、礼拝以外の時間も活気があります。

まとめ

今回は、イスラム教の礼拝のやり方、時間、回数、そしてお祈りをする場所の方角とインドネシアのモスクでのマナーについて詳しくお話ししました。

礼拝はムスリムにとって大切な義務であり、心の安らぎとアッラーへの感謝を表す時間です。

モスクやムショラで礼拝を行う際には、礼儀と礼節を守りながら行うことが大切です。

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shabushi

インドネシアに移住した日本人がバリ島、ジャカルタを中心としたインドネシア旅情報や海外移住についてのコンテンツを発信しています。

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