ジャカルタではラマダンの季節が近づいてきました。
日本でもヘジャブを着用したムスリムの女性を見かけることが増えるとともに、ラマダンという言葉も少しずつ広まってきています。
特に、インドネシアではイスラム教徒が人口の大多数を占めているので、ラマダンの理解が深まると、インドネシアでの生活や仕事、旅行がさらに豊かなものになるでしょう。
さて、今回はインドネシアのラマダンについて、意味や期間、関連するレバラン休暇、THR、そしてテロのリスクなどを詳しく解説していきます。
ラマダンとは
ラマダンという言葉自体が「断食」を意味すると誤解されがちですが、実際にはイスラム暦で9番目の月を指します。
断食はインドネシア語で「Puasa（プアサ）」と言います。
ラマダンの期間中、ムスリムは日の出から日没まで飲食を控え、夜明け前に早めの朝食をとる習慣があります。
インドネシアでは、ラマダン期間中、毎朝4時過ぎにモスクから礼拝の呼びかけがあり、それに合わせて多くの人が朝食をとり、日中は断食を行います。
日没後には「Buka puasa（ブカ・プアサ）」と呼ばれる断食明けの食事が行われ、家族や友人とともに食事を楽しむ時間となります。
また、ラマダン期間中は飲食のほかにも、性交渉、タバコ、悪口やイライラすることなども控えるべきとされています。
ラマダンの本質は、肉体的な断食だけでなく、精神的な浄化を図る期間でもあります。
断食を免除される人々
ラマダン期間中、すべてのムスリムが断食を行うわけではありません。
病人や怪我人、妊婦や出産後の女性、そして生理中の女性は断食が免除されます。
また、旅行者も断食を免除されていることがあります。これは、
イスラム教の創始者であるムハンマドが旅をしていた際、断食を免除されたという歴史に基づいています。
ラマダンの時期とレバラン
ラマダンの時期は毎年変わります。
2019年のラマダンは5月5日から6月4日ごろでした。
この日程は、インドネシアの宗教省が新月を観測して決定します。
イスラム暦は太陰暦に基づいているため、毎年ラマダンの開始日は約11日ずつ早まります。
ラマダンが終わると「レバラン」と呼ばれる休暇が始まります。
レバランは、日本のお盆と正月が一緒になったような最大の祝祭期間で、インドネシア全土で盛大に祝われます。
多くの人が実家に帰省し、家族や親戚と過ごすため、レバラン期間中の交通機関や道路は大変混雑します。
THR（レバラン手当）
レバラン休暇前に、インドネシアの企業ではTHR（Tunjangan Hari Raya）と呼ばれる特別手当が支給されます。
これは一般的に1か月分の給料に相当し、従業員にとっては非常に重要なボーナスです。
この手当は、レバラン期間中の出費を賄うために支給され、法律でその支給が義務付けられています。
ラマダン中の注意事項とテロのリスク
ラマダン期間中は、公共の場での飲食は控えるべきです。
特にイスラム教徒が断食している時間帯に、目の前で飲食をするのは避けるのが礼儀です。
また、過激派によるテロのリスクが高まる時期でもあります。
ラマダンは宗教的な心が高まる時期であり、それを悪用する過激派も存在します。
実際、過去にはラマダン直前にインドネシア国内でテロ事件が発生したことがあります。
ラマダン期間中にインドネシアを訪れる場合は、人が集まる宗教関連施設やモール、公共交通機関などは避けるようにしましょう。
また、窃盗や強盗が増える傾向もあるので、特にレバラン前は注意が必要です。
警察による検問や職務質問も増えるため、身分証明書を携帯しておくことが大切です。
レバランの期間と風習
レバランはラマダン明けの2日間の祝祭で、2019年には6月5日と6日に祝われました。
この期間中、インドネシア全土が祝日となり、多くの人々が実家に帰省します。
この時期は道路が非常に混雑し、ジャカルタのような大都市でも普段とは異なる雰囲気になります。
街は閑散としていて、まるでゴーストタウンのようになることもあります。
レバランに見られる珍しい光景
レバラン期間中、ジャカルタなどでは新札を売る屋台が登場します。
これは、親戚の子供たちにお年玉を渡すための新札を購入するためです。
インドネシアの紙幣は通常、かなり使用感があり、レバランのような特別な時期には新しいお札を渡すのが縁起が良いとされています。
インドネシアの警察とラマダン
ラマダン期間中、警察による検問が増えるのも特徴的です。
これは、犯罪が増加するためというよりも、警察官が自分たちの収入を増やすために行っている場合が多いです。
レバラン期間中は出費がかさむため、検問を通じて市民から少額の賄賂を要求することがあるのです。
外国人に対してはこうした要求は少ないものの、警察とのやり取りには注意が必要です。
まとめ
インドネシアのラマダンとレバランについての理解が深まったでしょうか？
ラマダンはイスラム教徒にとって非常に重要な時期であり、その習慣や文化を理解することは、インドネシアでの生活やビジネス、旅行をより充実させることにつながります。
ムスリムの友人や同僚とともに、彼らの文化を尊重し、共にこの特別な期間を過ごしてみてください。
断食は大変なものですが、ムスリムにとっては重要な宗教的な行為であり、家族や友人との絆を深める機会でもあります。
もし機会があれば、プチ断食を体験してみるのも面白いかもしれませんよ。
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